子供の矯正はいつから始めるべき?小児矯正の費用と必要性について解説
お子さまの歯並びが悪いと、矯正を始めるべきかどうか、判断に悩む親御さんも少なくありません。
歯並びが悪いと審美的な面はもちろん、虫歯になりやすいなどさまざまなリスクがあるからです。
では、一体いつから始めればいいのでしょうか。
こちらでは、子供矯正を始める時期や費用の相場、メリットや治療内容も合わせて解説します。
子供の歯列矯正はいつから始めるべき?
歯列矯正を行うなら、子供のうちに始めたほうがいい理由があります。
大人になると骨が硬くなっており、歯列矯正をしても歯がずれにくく痛みを感じるケースが多いです。
一方、子供の骨は柔らかく歯列矯正に対する効果が出やすい上、痛みも少ないと言われています。
であれば、早い年齢から歯列矯正を行った方が結果が出やすいでしょう。
子供矯正を行うには、第一期治療と第二期治療に分かれますが、その内容と目的について、解説します。
第一期治療の目的
第一期治療の開始年齢は、6歳からが理想です。
この年齢は乳歯から永久歯に生え変わる時期なので、歯並びを治す上でも適した年齢でしょう。
8〜9歳までの年齢になると、多くの奥歯が生え変わる時期に入るため歯列矯正をしても安定しない可能性が高いです。
結果を考えると、6歳から治療を始めるといいでしょう。
第一期治療の目的は、顎の骨のバランスを整えることです。
床矯正という、取り外し可能な装置を上顎と下顎に装着して、矯正を行っていきます。
定期的に通院し、お子さまの成長に合わせて床装置を交換します。
凹凸やずれがある場合、まだ生えていない歯も顎の中で悪い方向に向いてしまう可能性が高いです。
歯列矯正を行うと顎の骨が広がり、永久歯の生えるスペースを確保できます。
スペースができれば、まだ生えていない永久歯もスムーズに生えてきます。
第二期治療の目的
第二期治療の開始年齢は、12歳からが理想です。
この年齢はほとんどの歯が永久歯に生え変わり、顎の骨の成長がピークを迎えます。
方法も大人と変わらず、歯並びの乱れを細かく調整するのに最適な時期でしょう。
第二期治療の目的は、歯並びのバランスを整えて噛み合わせを改善することです。
歯並びの凹凸を整える必要がなければ、第一期治療を飛ばして第二期治療から始めます。
ただし、年齢によって身長や骨の成長にはばらつきがあります。
そのため、第二期治療に移行するタイミングは医師と相談して決めましょう。
矯正方法はマウスピースやワイヤーなどの装置を使い、歯並びを改善します。
定期的に通院する必要があり、顎の骨の成長に合わせて装置を交換しましょう。
永久歯が生えそろう前に小児矯正を行うメリットとは?
子供矯正を行うタイミングとして、永久歯に生え変わる第一期治療か、もしくは永久歯が生えそろった第二期治療です。
12歳以降になると見た目を気にする子も増えるので、第二期治療から始める割合が高くなります。
永久歯が生えそろう前に小児矯正を行ったほうが、2つのメリットを得られるでしょう。
こちらでは、2つのメリットについて解説します。
歯列や咬合に悪影響を与える癖を改善できる
子供の歯列や咬合に影響を与える癖は4つあります。
- 口呼吸
- 指しゃぶり
- 爪を噛む
- 舌癖
4つの中で、とくに子供に見られるのは指しゃぶりです。
指しゃぶりを行うと、口蓋という上の歯の裏側に当たります。
指を吸うことで口腔内に圧力がかかりますが、1〜2回やっただけでは歯並びに影響はでません。
しかし長期的に指しゃぶりをすれば、歯の間が狭くなる歯列狭窄や、上下のかみ合わせがズレて前歯が出てくる上顎前突、上下のかみ合わせがなくなる開咬になるでしょう。
歯列狭窄や上顎前突、開咬をまとめて不正咬合といいます。
これらは小児歯科へ受診し、小児矯正を行う必要があります。
小児矯正を行えば歯並びが改善し、不正咬合も解消されるでしょう。
顎骨の発育コントロールと虫歯予防ができる
第一期治療では、主に顎の骨格を整えるのがメインです。
とくに反対咬合といった上の歯よりも下の歯が出ている状態のかみ合わせは、早い段階での治療を推奨します。
ちなみに上顎の成長は10歳がピーク、下顎の成長は14歳がピークです。
顎の成長がピークである年齢から歯列矯正を始めることもできますが、多くの子は永久歯に生え変わっています。
歯の間が狭ければ、永久歯が生えるスペースがなくなり、その結果歯並びが悪くなります。
そこで、早い段階から歯列矯正を行えば、歯の間に永久歯が生えてくるスペースを確保することが可能です。
開いたスペースから永久歯が生えてくるので、歯並びの改善が期待できるでしょう。
さらに、歯並びが良くなれば歯のブラッシングもしやすくなり、歯垢を落としやすくなります。
矯正中は定期的な検診もあるので、虫歯の予防もできるでしょう。
小児矯正前にかかる費用とは?
小児歯科へ行っても、いきなり矯正治療を行うわけではありません。
始める前には、綿密なカウンセリングや検査が必要です。
これらを受けたうえで、医師と一緒に今後の計画を立てることになるでしょう。
小児矯正自体がお金のかかるので、費用については医師としっかり確認する必要があります。
こちらでは、小児矯正前にかかる費用について解説します。
初診カウンセリング(無料~5,000円)
初診カウンセリングでは、医師が実際に口腔内や歯並びの状態を確認し、口腔内の状態によって適切な治療を選ばなければいけません。
口腔内や歯並びのチェックが終わったら、次は医師と話し合いをします。
小児矯正治療に対して、お子さまや保護者の希望を確認します。
とくに矯正治療は保険が効かない自由診察のため、通常の歯科治療よりも費用が高額です。
場合によっては何十万も治療に費やすでしょう。
同じ内容でもクリニックによって価格設定は異なります。
どんな内容にいくらかかるのか、気になることはカウンセリングの際、医師にしっかりと確認しましょう。
初診カウンセリングの費用は無料〜最大5,000円とクリニックによって金額に差があります。
クリニックによっては、すでにカウンセリング費用が含まれている場合があるので、事前に確認しましょう。
精密検査や診断料(無料~5万円)
カウンセリングを受け、その上で小児矯正治療を行うと決めた方は、受ける前に精密検査を行います。
具体的には口腔内と顔の骨格を確認するためにレントゲンを撮影し、歯並びの様子をチェックします。
精密検査で虫歯や歯肉炎が見つかった場合は、歯列矯正を行う前にそちらの治療が優先になるでしょう。
小さな虫歯であれば治さず経過観察をするクリニックもありますが、歯に穴が開くほど進行しているものは、そのままでは矯正治療を行えません。
穴が大きく、銀歯などの被せ者を行う場合は、保険範囲内で治療ができるでしょう。
虫歯治療も含め、今後どのように進めていくかは医師と相談して始めます。
精密検査費用は、無料〜最大5万円ですが、クリニックやプランによって金額が異なります。
小児矯正中にかかる費用とは?
カウンセリングや精密検査が終わったら、いよいよ治療が始まります。
第一期治療と第二期治療では、内容だけではなく金額も異なるので、治療を行うまでにしっかり確認をしましょう。
こちらでは、小児矯正中にかかる費用について解説します。
小児矯正を受けるか悩まれている方は、参考にしてください。
第一期治療にかかる費用の相場
かみ合わせや歯列の育成状況に合わせて、床矯正装置・マウスピース型装置・拡大装置の3つを使い分けながら治療を行います。
第一期治療にかかる治療費については次のとおりです。
- 床矯正装置:10~40万円(税別)
- マウスピース矯正:10~50万円(税別)
- 拡大装置の治療:10~40万円(税別)
第一期にかかる治療費の相場は、およそ10〜50万円です。
クリニックによっては、第一期治療からワイヤー矯正を取り入れているところもあります。
装置の種類によって金額が異なるのはもちろんですが、使用するブラケット数が増えるほど金額は上がります。
審美ブラケットを選択されると、さらに金額は上がるでしょう。
第二期治療にかかる費用の相場
第二期治療では、歯の状態や自分がなりたい歯並びに応じて、矯正装置を選びます。
第二期治療にかかる費用は次のとおりです。
- 表側ワイヤー矯正:奥歯を含む全体矯正18万~100万円(税別)
- 裏側ワイヤー矯正:奥歯を含む全体矯正30~130万円(税別)
- マウスピース矯正:上下前歯を中心の場合10~70万円(税別)
- マウスピース矯正:奥歯を含む全体矯正50~100万円
治療費の相場は、およそ20〜100万円です。
クリニックによっては、第二期治療にかかる費用が180万円(税別)になるところもあります。
矯正後は定期的にクリニックを受診し、歯並びに合わせて装置を調整します。
その際にかかる費用は、無料〜1万円(税別)です。
小児矯正後にかかる費用の相場
矯正後、歯並びが後戻りしないように保定装置(リテーナー)の装着が必要です。
虫歯や歯肉炎を予防するうえでも、しばらくは定期的に通院する必要があるでしょう。
では、小児矯正後にかかる費用と、相場について解説します。
第一期後にかかる費用と治療内容
第一期治療が終了してから2年以内は、1〜2か月に1度のペースで通院しますが、保定観察量は無料〜最大5,000円かかります。
保定装置はマウスピースタイプやワイヤータイプ、針金を通して固定タイプなど、3つの中から選択します。
保定装置代は、無料〜6万円(税別)です。
クリニックによっては、矯正費用の中にリテーナー代が含まれているケースもあります。
低年齢の子供の場合、まだ生え変わっていない歯がたくさん残っています。
生え変わりの時期を見て、歯磨きなどの指導を行う必要もあるでしょう。
とくにワイヤー矯正を選ばれた方は、歯とワイヤーの間に食べかすが詰まりやすく、これが原因で虫歯につながる方が多いので定期的な通院と丁寧なブラッシングが大切です。
第二期後にかかる費用と治療内容
第二期治療を行った後も、第一期治療と同じく保定装置を使って歯を固定します。
取り外し可能なワイヤータイプ・マウスピースタイプ・針金を通して固定するタイプの3つから選択しますが、選んだリテーナーに応じて金額は変わります。
経過観察費用は無料から8万円(税別)で、クリニックによっては矯正治療費に保定装置代が含まれていることがあるので、カウンセリングの時に確認をしましょう。
経過観察では次の事をチェックします。
- 後戻り
- 咬合
- 歯肉炎
- 口腔内の清掃状況
- 虫歯
経過観察を行ったうえで保定装置の再制作が必要な場合は、歯型の採取を行います。
保定装置の装着を怠ると、後戻りする可能性が高くなるでしょう。
最悪の場合、矯正治療からやり直しになるので注意をしてください。
小児矯正で発生する費用の支払い形態
小児矯正で発生する費用の支払いには、トータルフィー制度(定額制)と、各料金が発生する処置別支払い制度の2つがあります。
クリニックによって導入している支払い制度は異なるため、どちらを選んでいいのか迷う方もいるでしょう。
こちらでは、2つの制度の違いについて解説します。
トータルフィー制度とは
治療中から保定期間までに小児矯正に必要なすべての料金を事前に一括払いすることを、トータルフィー制度といいます。
先に支払いを済ませれば、装置の値段や通院などを都度払いする必要はありません。
虫歯治療が終了した後のメンテナンス料金、拡大床や抜歯代はトータルフィー制度に含まれない可能性があります。
そうなった場合は、これらは別料金で支払う必要があるでしょう。
また、トータルフィー制度に含まれる料金は各クリニックによって異なります。
どのような治療がトータルフィー制度の中に含まれるか、あらかじめ確認をしておきましょう。
処置別支払い制度とは
矯正装置代や処置料金、保定装置など毎回通院のたびに発生する料金を、その都度払うことを処置別支払い制度といいます。
多くのクリニックで昔から取り入れている支払い方法で、矯正装置やメンテナンス代など各料金がそれぞれ請求が可能です
一度で高額な支払いが不要なところがメリットですが、予定より治療が長引けばその分費用が嵩むデメリットもあります。
処置別支払い制度に上限を設けているクリニックもあるので、詳しくはカウンセリングの際に確認しましょう。
小児矯正費用は保険適用の対象になる?
基本的に小児矯正は自由診察のため、保険適用されません。
しかし、厚生労働省が認めた59の先天性疾患や前歯の永久歯が3本以上生えてこない、顎の手術が必要な方は保険適用されます。
保険適用されなくても、年間10万円以上医療費がかかると、医療費控除の申請ができます。
小児矯正は10〜150万円使う可能性が高く、子供の成長や機能改善の治療として認められているため、医療費控除の対象です。
ただし、審美面を目的とした場合は医療費控除の対象外なので注意をしましょう。
まとめ
大人になると骨が硬くなり、歯列矯正までに時間がかかります。
歯がずれにくいため、痛みを感じる方もいるでしょう。
子供のうちに歯列矯正を行えば、痛みが少ない状態で治療が行えるうえ、効果も実感しやすいです。
音羽歯科クリニックでは、3Dデジタルスキャナを用いて、お子さまの歯や骨の状態をしっかり確認しながら最適な治療を提案します。
気になる方はお気軽に、まずはカウンセリングを受けてみてください。