インプラントはメンテナンスが必須!料金や頻度・セルフケアについて徹底解説
インプラント治療は、周囲の歯の健康を守りながら失った歯の代わりとなってくれるため、その他の治療と比べて、インプラントを含めた歯の寿命を延ばせる特徴があります。
しかし、それは治療後のメンテナンスを欠かさずに行ってこその話です。
この記事では、インプラントのメンテナンスについて、その重要性や歯科医院でのメンテナンスの内容、日頃のセルフケアの方法を解説します。
インプラントにメンテナンスが必要な理由
インプラント治療は、歯を支える顎の骨に人工的な装置(インプラント体)を埋め込み、失った歯の代わりとなる人工歯の被せ物を行う治療です。
周囲の歯に負担を掛けることなく、本来の歯と遜色のない強度を得られるとあって、入れ歯などではなくインプラントを選択する人も多いです。
ここでは、インプラント治療を受けた後に定期的なメンテナンスを受ける重要性について解説します。
メンテナンスを怠るとどうなる?
インプラント治療を受けた後には、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。このメンテナンスを怠ってしまうと、インプラント周囲炎を引き起こしてしまうことがあります。
インプラント周囲炎とは、インプラント周囲の歯肉が炎症を起こし、天然歯でいうところの歯周病と似た状態となることです。
このインプラント周囲炎を予防することはもちろん、インプラントの寿命を延ばすうえでメンテナンスは重要となります。
そして、定期的なメンテナンスを行うことでインプラント周囲炎の予防に限らず、その他の歯の虫歯、歯周病、歯茎の腫れなど、口腔内の衛生環境をチェックできます。
定期的なチェック体制が整っていれば口内のトラブルを早期に発見でき、大きなトラブルに至る前に治療を開始することができるようになります。
インプラント周囲炎とは?
インプラント周囲炎を発症すると、インプラントを埋入した周囲の歯茎の腫れや出血といった症状が現れます。
インプラント周囲炎がさらに進行すると、周囲炎を起こした周囲の歯槽骨(骨を支える土台部分となる骨)が溶かされてしまいます。
最悪の場合には、インプラントを支持することも不可能となり、インプラントを摘出しなければいけない状況に陥ることもあります。
インプラントは本来の歯と比較すると、細菌に対して十分な抵抗力を有していません。そのため、インプラント周囲炎を発症した後には症状が急速に進行していきます。
発症したとしても自覚症状があまりないこともインプラント周囲炎の危険な部分であり、気付いた時には手に負えない事態になっている場合もあります。
日常的ケアだけでなく、定期的なメンテナンスを取り入れることで、インプラント周囲炎の予防を心掛けることが大切となります。
トラブルの際に日頃のメンテナンスが重要
一般的に、治療で用いられたインプラントに不具合が発生した際に備えて、それぞれの製造メーカーが保証制度を整えています。
インプラントの保証期間はメーカーごとに約5~10年と幅がありますが、保証期間内であれば、不具合があった場合に無償で取り換えてもらえます。
しかし、この取換えのための条件として、患者さんの故意による破損でない、定期的なメンテナンスを受けている旨を定めている製造メーカーは非常に多いです。
もしものトラブルの際に負担なく交換してもらうためにも、日頃からメンテナンスを受けておくことが重要となります。
インプラントのメンテナンスの流れ
ここでは、歯科医院で行われるインプラントのメンテナンスの内容を解説します。
口腔内の診察
歯科医院でインプラントのメンテナンスをする際には、口腔内の診察が必ず行われます。
インプラントを長く使い続けられる状態に保つためには、口腔内の衛生環境が清潔であることが欠かせません。
そのため、インプラントの状態を確認するだけでなく、口内全体の健康状態も隅々まで把握する必要があるのです。
具体的には、インプラントを含めた他の歯に虫歯ができていないか、歯周病になっていないかを丁寧に診ていきます。
さらに、他の治療で使用した被せ物や詰め物に不具合が起きていないかもチェックされます。
レントゲン撮影
インプラントのメンテナンス作業では、レントゲン撮影も行われます。
インプラントは、失った歯の代わりとなる人工的な土台(インプラント体)を顎の骨に直接埋め込んでいます。
そのため、インプラントを使い続けるためには、顎の骨の健康状態も良好に保たれていなければいけません。
歯肉が下がっている、出血や腫れといった歯周病の症状は診察で確認することが可能ですが、骨の状態はレントゲン撮影をしなければ詳細を把握できません。
顎の骨が脆くなっていたり、薄くなったりしている場合は早急な処置が必要となります。
レントゲン撮影を行い、顎の骨の健康状態を定期的にチェックすることも、インプラントの寿命を延ばすうえで欠かせないのです。
ブラッシング方法の確認
インプラントのメンテナンスでは、日常ケアの基礎となるブラッシング方法のチェックが行われます。
インプラントを長く使い続けるためには、インプラントの状態はもちろん、口内の衛生環境を良好に保つことも重要な秘訣です。
そして、口内環境を清潔に保つには、日々のブラッシングが重要となります。
ブラッシングには人それぞれのクセがあり、上手に磨けていない箇所が出たり、力を入れ過ぎて歯に負担を掛けたりしているケースがあります。
また、口腔内の状態や歯の生え方によっても、適切なブラッシング方法は変わってきます。
歯科医に磨き残しがないかをチェックしてもらい、うまく磨けていない箇所がある場合には、どのようなケアを行う必要があるのかをレクチャーしてもらいましょう。
磨き方のレッスンだけでなく、磨きやすい歯ブラシやデンタルフロスなどの口腔ケアアイテムを教えてもらうことも、口腔ケアを徹底するうえで非常におすすめです。
歯のクリーニング
歯科医院のインプラントのメンテナンスでは、歯のクリーニングも行われます。
ご自身ではきちんと磨けていると思っていても、一人ひとりブラッシングにはクセがあるため、意外と磨き残しが出てしまいます。
除去しきれなかった歯垢は徐々に歯石へと変化し、ブラッシングでは除去しきれなくなってしまいます。
歯石は、歯科医院で用いられる特殊な清掃器具や薬剤を使用して取り除くのが効率的です。
歯に付着した歯垢、歯石はインプラント周囲炎を引き起こす原因となるため、歯のクリーニングも必ず受けるようにしましょう。
噛み合わせの確認
インプラントのメンテナンスでは、噛み合わせの確認も行われます。
噛み合わせが悪いとインプラントや他の歯に過度な負荷が掛かってしまい、痛みを感じてしまうといった悪影響が出てしまいます。
最悪の場合には、インプラントが欠けてしまったり、脱落したりする恐れがあるため、違和感を感じたら歯科医に相談するようにしましょう。
インプラントは耐久性があるため、適度な負荷であれば問題なく耐えられますが、過度な負荷が生じている場合には、インプラントに被せている人工歯を調整する必要があります。
噛み合わせの悪さは、上記インプラントの不具合を引き起こすだけでなく、顎関節症や首・肩周りの凝りや血行不良、歯周病の原因となります。
メンテナンスの際には、きちんと確認してもらうようにしましょう。
メンテナンスの通院頻度と費用
ここでは、インプラントのメンテナンスの頻度と費用について解説します。
メンテナンスの通院頻度
インプラントのメンテナンスは、最低でも年に1~2回を受けることが推奨されています。
口腔内や身体の健康状態によっては、1~2ヵ月に1度の診察を案内される方もいるため、インプラント治療が完了した後、詳しい内容を担当の歯科医から確認するようにしましょう。
歯科医院によっては、定期検診が必要な時期が近づいてくると、はがきなどで案内してくれるケースもあります。
案内等がない場合には、誕生日などの記念日を検診の日に決めておけば、忘れる心配を減らすことができるでしょう。
メンテナンスの費用
インプラントのメンテナンスの費用相場は、1回3,000~5,000円です。
定期的にメンテナンスを受ける必要があるため、料金が安いに越したことはないですが、1回あたりの費用だけを比較してクリニックを選ぶのはおすすめしません。
メンテナンス費用5,000円と案内されている場合であっても、インプラント1本のメンテナンスに5,000円を設定しているクリニックと、インプラント3本まで1度のメンテナンス5,000円と設定しているクリニックがあるからです。
インプラントを複数埋入している方には特に重要な内容であるため、メンテナンス費用についてもきちんと確認するようにしましょう。
なお、インプラント治療は自由診療であるため、その延長線上にあるインプラントのメンテナンスも基本的には健康保険が適用されないことに留意しましょう。
メンテナンスは医療費控除の対象となる?
インプラントのメンテナンスは、医療費控除の対象となっています。
治療を受けた年の1月1日から12月31日までに自分や家族のために出費した医療費の合計額が10万円以上となった場合には、控除申請を進めてみると良いでしょう。
セルフケアで行うメンテナンス
最後に、セルフケアで行うインプラントのメンテナンスについて解説します。
日頃のブラッシング
インプラントを長く使い続けるための基本は、日頃のブラッシングを丁寧に行い、口腔内の衛生環境を良好に保つことです。
磨き残しを少なくするためには、歯1本1本にブラシをきちんと当て、数秒間、小刻みに歯ブラシを動かすことが重要です。
ブラッシングの際に力を入れてしまうと、歯が傷ついてしまうため、ペンを握るのと同じ要領で歯ブラシを持つようにしましょう。
磨きにくい箇所がある場合には、歯ブラシを当てる角度を変えたり、歯ブラシの角の毛先を使うようにすると良いでしょう。
デンタルフロスの活用
歯ブラシで丁寧なブラッシングをしたとしても、歯と歯の間にまで歯ブラシの毛先を入れることは難しいです。
隙間の歯垢や食べカスを取り除くには、デンタルフロスの活用が効果的です。
日頃のブラッシングに加えて、デンタルフロスを使うことで、歯垢除去率が向上することは科学的にも証明されています。
虫歯・歯周病・口臭の予防にも効果的であるため、定期的にデンタルフロスで隅々の歯垢を取り除くようにしましょう。
デンタルフロスが難しい場合には、ブラシが細いものから太いものまでを揃え、歯間ブラシで歯垢除去を行っても同様の効果を得ることができます。
まとめ
インプラントは、周囲の歯の健康を守りながら失った歯の代わりとなってくれるため、その他の治療と比べて、インプラントを含めた歯の寿命を延ばせる特徴があります。
ただし、インプラント・本来の歯を長く使い続けるためには、インプラントのメンテナンスが欠かせません。
日頃の口腔内ケアを徹底しながら、定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。
音羽歯科クリニックのインプラント治療では、3D口腔内スキャナ・プリンター等、さまざまな技術を駆使して、精度に優れた治療プランニングを提案しています。
歯茎を切り開かない埋入方法や、インプラント治療が困難とされる場合の対応なども採用しており、多くの人がインプラント治療を受けられる環境を提供しています。
インプラント治療を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。