マウスピース装着中の食事はどう変わる?ポイントや食後のケアも紹介
以前より歯並びや歯の色を気にする方が増え、昨今は矯正治療やホワイトニングへの需要が増加傾向です。
なかでも、痛みが少なく目立ちにくいマウスピース矯正治療は人気があります。
矯正治療中に気になるのが、マウスピースを取り外せないときの食事ではないでしょうか。
本記事では、マウスピース矯正中の食事や食後のお手入れ方法を解説しています。
矯正治療中の食事や外出先での食後ケアで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
マウスピースは食事のときに外さなきゃダメ?
マウスピース矯正は、できる限り長時間装着するのが基本です。
1日に20時間以上が望ましいとする目安も公表されています。
しかし、つけたまま食事をすると、噛んだ衝撃によりマウスピースを損傷しかねません。
食事中は外し、食後は歯磨きとマウスピースを洗ってから、すみやかに再装着します。
矯正歯科治療では目安とする装着時間を前提に治療計画を立案しており、装着する時間が想定よりも短いときは計画どおりになりません。
マウスピース矯正中は、飲食に関してさまざまな制限がありますが、外せば自由に食べられます。
食事する際はマウスピースを外す習慣を身につけましょう。
食事中はマウスピースを外す理由3選
食事中にマウスピースをつけていると、歯と装置の間に残った食べ物が虫歯や歯周病を誘発する他、装置を損傷してしまいます。
マウスピースの装着は2~3年、その後の保定期間は約1年が一般的です。
治療内容によっては装置の作成数に上限があり、損傷すると追加費用が発生するケースもあります。
マウスピースが変形・変色する
マウスピースは薄い強化プラスチックを材料にしており、デリケートです。
食べ物の熱や硬い食べ物を噛んだ衝撃で変形する他、色の濃い食べ物や飲み物の色素により変色してしまいます。
変形や損傷してしまうと矯正できなくなり、作り直さなければなりません。
その間は以前のマウスピースを使用しますが、歯が元の位置に戻ってしまいます。
装置の破損は治療計画に影響を及ぼすだけでなく、追加費用も発生して、デメリットばかりです。
また、マウスピースが変色すると見た目も悪く、ワイヤー矯正よりも目立たないメリットがなくなります。
かんたんに取り外せる長所を活用して、計画どおりに矯正を終わらせましょう。
虫歯や歯周病になるリスクが高まる
食べ物がマウスピースにくっついたままになったり、歯との間に食べ物が入ってしまったりすると、口腔内を清潔に保てません。
口臭の原因になる他、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
虫歯や歯周病になると治療を優先しなければならず、場合によってはマウスピース矯正の中断になって回復するまで再開できません。
歯との間に食べ物が入ってしまうと、外して食事をするときに痛みを感じやすくなります。
もともと、マウスピース矯正中は口腔内を清潔にする唾液の分泌量が減少する傾向にあり、虫歯や歯周病になりやすいです。
歯周病は成人の歯が抜ける原因になっている点も考慮し、飲食する際はマウスピースを外しましょう。
治療計画が長期化する
マウスピース矯正中は、以下のとおりさまざまな制限があります。
- 長時間の装着
- 食べ物や食べ方
- 食後の手入れ
ルールを守り、2〜3年は治療方針に沿った生活をするのが一般的です。
例えば食事の際に外さないと、マウスピースの破損による作り直し期間に歯が矯正前にあと戻りしてしまい、計画どおりに終わりません。
外して食事をして、食後のすみやかな装着をおこたると、矯正する時間が確保できなくなります。
治療を開始する際に歯科医師と相談して決めたゴールに到達するには、治療の長期化もやむを得ません。
食事の際にマウスピースを外さなければ、食べ物や食べ方に制限がかかってしまいます。
マウスピース矯正中の食事のポイント
食事の前にマウスピースを外すと制限は少なくなるため、習慣化するのがポイントです。
外出先で外せないときは、口腔内を清潔に保ちやすい飲み物や食べ物を選び、リスクを避ける必要があります。
治療を開始して間もないときは、マウスピースを外しても食べにくいケースもあり、注意しなければなりません。
マウスピース矯正中にNGな食べ物を避ける
食事前に外せないときは、虫歯や歯周病を誘引する甘味の強い飲み物や食べ物は避けましょう。
清涼飲料水やスポーツドリンクは甘味成分の糖類が入っており、梅酒や日本酒、ビールは糖類の多い酒類です。
歯磨きしても甘味が残る粘着性の高いチューインガムやキャラメルは、装置が外れやすくなります。
コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーライスやキムチは色素が沈着しやすい食品です。
熱々の食べ物や飲み物、せんべいやアーモンド、フランスパンなど硬い食べ物は、マウスピースの破損につながります。
外した装置を再装着する前に、口腔内を清潔にするのが大切です。
マウスピース矯正中にOKな飲み物を把握
水やぬるい白湯は、マウスピースを外さなくても飲めます。
蒸留酒のウイスキーやブランデー、焼酎は糖類が少ない種類です。
炭酸水や水で割っても糖分は増えませんが、ジンジャーエールやサイダーは糖分を含んでいます。
マウスピースをつけているときは、摂取を控えてください。
糖分が少ない飲料は、マウスピースを外さなくても飲めます。
食後はブクブクうがいをして口をすすぎ、口腔内を清潔にして歯周病を予防しましょう。
食べ物は装置を外していれば、制限がほとんどありません。
飴やガムも、糖分の種類によっては、甘みがあっても食べられます。
ただし、飴や氷は舐め、かたまりのままかじらない食べ方がポイントです。
虫歯や歯周病の原因となる糖質が高いもの把握
マウスピースをつけている間は、虫歯や歯周病の原因になりやすい糖質を避けてください。
糖質のなかでも、単糖類と二糖類の糖類、少糖類(オリゴ糖)は装着中に避けたい種類です。
単糖類にはブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)、二糖類には単糖類とショ糖や砂糖(スクロース)、麦芽糖(マルトース)があります。
天然果汁は果糖、蜂蜜にはブドウ糖と果糖、オリゴ糖を含んでおり、マウスピースをつけているときは控えましょう。
糖アルコールには糖類が入っていません。
キシリトール系ガムや還元麦芽糖(マルチトール)を使用したノンシュガー食品は、甘い物が欲しいときだけでOKです。
購入前に原材料の確認をしつつ、口腔ケアを忘れないようにしましょう。
食事後に欠かせないマウスピース矯正中のケア
矯正中は、食後の歯磨きとマウスピースのお手入れが、虫歯や歯周病予防に欠かせません。
食事する際に外したときは専用ケースに入れて置き忘れや損傷を防ぎ、適切にケアしてから早期に装着します。
正しい歯磨きや装置のお手入れ方法をおぼえて食事のたびに実践し、口腔内を清潔に保ちましょう。
歯を磨いてからマウスピースを装着
歯磨きは、毛先のやわらかいタイプの歯ブラシを使用し、口腔内に傷をつけるリスクを下げます。
歯と歯茎に対して直角に歯ブラシの毛先をあて、細かく前後に動かすのが虫歯を予防する効果を高める磨き方です。
歯周病予防には、歯と歯茎の間に歯ブラシの毛先を斜めにあてて磨きます。
歯ブラシのわきや先端を使い分け、力を入れすぎずに細かく動かし、まんべんなく磨くのがコツです。
デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシ、マウスウォッシュも併用しますが、それだけでは汚れを落としきれず歯磨きの代わりにはなりません。
歯磨き指導をする歯科医院も多くあり、治療開始前に相談して正しい磨き方を覚えましょう。
専用洗浄液でマウスピースを洗う
食事する際に外したマウスピースは、装着前に水洗いをします。
汚れを落とすには、ぬるま湯も適しており、熱湯や煮沸消毒はマウスピースを破損しやすいです。
やさしく指でこするだけで汚れを落とせて、すみずみまで洗いたいときはやわらかい毛の歯ブラシを使います。
水やぬるま湯で汚れを浮かせたあと、やさしくブラシでこすりましょう。
付着した汚れが落ちにくいときは、傷つけやすい研磨剤入り歯磨き粉は避け、専用洗浄液を使ったつけ置きがおすすめです。
取扱説明書に従い、時間が経過したあとは流水で洗浄液の成分を洗い流します。
キッチンペーパーやタオル、ティッシュペーパーでそっと水分を拭きとると、お手入れは完了です。
マウスピース矯正中の食事!こんなときはどうする?
食事する際にはマウスピースを外すのが原則ですが、仕事の訪問先で飲み物の提供を受けると、取り外せず困ってしまいます。
そこで、つけたまま飲食する方法やその後の対処法を知っておくと便利です。
自然災害や停電によって断水が起きて、歯磨きができないときにも役立ちます。
マウスピースを外さないで食事をしてしまった
食後にマウスピースを取り外せるときは、水洗いやウェットティッシュで汚れを拭き取り、うがいをしてから再装着します。
すぐに外せないときは口をすすいで、マウスピースに付着した食べ物を取り去るのがポイントです。
口をすすぐときは、マウスウォッシュ(洗口液)を使うと、水だけよりも虫歯や歯周病予防効果を高めます。
どちらも緊急措置であり、すみやかに時間と場所を確保して歯磨きと装置のケアをおこなって清潔にしてから、水分を拭きとってから装着しましょう。
マウスピースが変形や損傷したときは早期に担当医に相談し、作り直しも含めた計画の再検討が必要です。
訪問先でコーヒーを出された
仕事の訪問先でコーヒーや紅茶の提供を受けたときは、マウスピースを外すタイミングもないため、そのままいただくのが無難です。
その際、糖分を控えるにはブラックで飲みますが、冷めるまで待ちます。
アイスのときもブラックで飲みますが、ストローを使うと口中全体に広がらず、便利です。
しかし、色素や糖分は残るため、マウスピースを外してから口をすすぎ、マウスピースを洗浄して再装着します。
口腔ケア用の水は、ペットボトルを持ち歩く他、コンビニエンスストアや自動販売機で購入して確保しましょう。
飲み物を選べるときは水を希望し、水がないときは甘さを控えた無糖や微糖タイプ、冷たい飲み物を選ぶのがおすすめです。
食後に手入れや歯磨きがむずかしい
外出先で食後に歯磨きやマウスピースのケアができないときは、うがいをする他、マウスウォッシュや携帯用洗口液を活用します。
マウスピース矯正中に使うマウスウォッシュは、刺激の少ないタイプを選んでください。
刺激が強いタイプはエタノールを多く含んでおり、口腔内を乾燥させます。
また、虫歯や歯周病予防効果の高いタイプや、ホワイトニング成分を含んでいるタイプもマウスピース矯正中に利用するのがおすすめです。
マウスウォッシュにはタブレット型やスプレー型もあり、外食や外出先で飲食する機会が多い方は常備すると良いでしょう。
マウスピース矯正中でも好きなものを食べるには?
マウスピースを外した場合、歯の負担を軽減する食べ方をするのがコツです。
- 食べるときは一口サイズに切る
- 骨つき肉はナイフでそぎ落としてから食べる
また、矯正治療を始めた頃やマウスピースを交換した直後は、痛みに敏感になるケースもあります。
その際は、おかゆや雑炊、卵や豆腐料理、ポタージュや無糖ヨーグルトなど嚙まずに食べられるメニューがおすすめです。
やわらかめの食事は粘着性が高く歯に残りやすく、食後の歯磨きやマウスピースのケアを念入りにする必要があります。
1回の食事時間が長い方や1日に何回も食べる方は、マウスピースの装着時間が確保しにくくなるため、食べ方を見直しましょう。
外出するときに欠かせない口腔ケアグッズ
外出先でうがいやマウスピースのお手入れができないときや、食事前に装置を取り外しにくいときは、口腔ケアグッズを携帯すると便利です。
歯の汚れをこすり落とす歯磨きシートは、指に巻きつけるだけで使えます。
デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシは、歯の間に残った食べ物を取り除きます。
デンタルフロスを使い慣れない方はY字型、前歯が気になる方はF字型を使い、歯のすき間が大きい部分には歯間ブラシがおすすめです。
矯正中に口臭が気になる方は、1日に1回を目安に舌ブラシを使うと緩和できます。
口腔ケアグッズは、ドラッグストアや薬局、コンビニエンスストアで販売しており、外出先でも購入可能です。
まとめ
マウスピースは食事をする際に取り外し、そのあと歯磨きやマウスピースケアをおこなってから早期に装着します。
音羽歯科クリニックでは、装着したまま食事ができるマウスピースも導入しており、制限の少ない矯正治療です。
ていねいに説明する認定医が複数在籍中の音羽歯科クリニックに、気軽に相談してみましょう。