矯正歯科では虫歯を教えてくれない?その理由と予防方法について解説
矯正治療を受けた方の中には「通っている矯正歯科で虫歯を教えてくれなかった」「虫歯があったのに放置されてしまった」といった意見が上がることがあります。
そのような意見が本当なのか、もし矯正治療中に虫歯ができてしまったらどうしたらよいのか不安に思う方も少なくないでしょう。
この記事では、「矯正歯科では虫歯を教えてくれない」といわれる理由について解説します。
矯正治療中に虫歯が見つかった時の対処法や治療中の虫歯予防方法などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
矯正歯科では虫歯を教えてくれないといわれる理由
矯正歯科では虫歯を教えてくれないといわれていますが、考えられる理由としては以下のようなものが挙げられます。
- 虫歯治療をしてから矯正治療を開始するケースが多いため
- クリーニングをしていないと見落とすことがあるため
- 見つけにくい虫歯だったため
- 矯正治療を優先させるため
- 他のクリニック任せにしているため
ここでは上記5つの理由についてそれぞれ解説します。
虫歯治療をしてから矯正治療を開始するケースが多いため
虫歯は自然治癒が難しい進行性の病気のため、矯正治療を始める前に治療を行うことが多いです。
虫歯がある状態で矯正治療を始めてしまうと、虫歯の進行によって歯並びや噛み合わせに悪影響が出て、最悪の場合歯を失ってしまうこともあります。
虫歯治療後に矯正治療を行うため基本的には虫歯がない前提となりますが、隠れていた虫歯が見つかったり矯正治療中に虫歯が発生した場合には、適切な対処が必要です。
クリーニングをしないことで見落とすことがあるため
一般的な歯医者では歯のクリーニングにより虫歯予防を行いますが、矯正歯科専門クリニックの中にはクリーニングをしていないところもあるようです。
クリーニングせずに汚れが蓄積していると虫歯を見落としてしまうことがあり、結果的に『矯正歯科では虫歯を教えてくれなかった』といった事態になる場合があるのです。
すべての矯正歯科がクリーニングを行っていないわけでなく、歯のクリーニングを重視して虫歯のチェックに力を入れているところもあります。
矯正治療前に虫歯をすべて見つけて治療を済ませておくためにも、カウンセリングの段階で確認しておきましょう。
見つけにくい虫歯だったため
虫歯は目視により見つけますが、すべての虫歯が表面にわかりやすく症状が現れるわけではありません。
中には以下のように見つけにくい虫歯も存在します。
- 歯と歯の隣接面にできた虫歯(隣接面う蝕)
- 詰め物や被せ物の下にできた虫歯(2次カリエス)
これらの虫歯を見つけるためには、レントゲン検査や歯科用CT、マイクロスコープなどで確認する必要があります。
矯正歯科専門クリニックでは専門的な機械を使った虫歯の確認が難しい場合があるため、3~4か月に1度はかかりつけの一般歯科で定期検診を受けましょう。
矯正治療を優先させるため
矯正歯科クリニックでは主に歯の動きや全体的な歯並びを診ており、虫歯をしっかりチェックしていない可能性があります。
虫歯を治療せずに矯正治療を進めると歯が変形したり痛みが出てきたりする恐れがあるため、心配な方は診察の度に虫歯がないか確認してもらいましょう。
万が一虫歯が見つかった場合は、歯科医師に適切な対処を仰いでください。
他のクリニック任せにしているため
矯正歯科クリニックでも、虫歯が見つかればきちんとそのことを教えてくれます。
しかし中には虫歯治療は患者さんのかかりつけの一般歯科任せにして、虫歯チェックをあまり丁寧に行っていない場合があります。
虫歯チェックに力を入れていない矯正医のもとで治療を行う場合、診察の度に虫歯ができていないか確認してみましょう。
万が一治療中に虫歯が見つかった場合はどうしたらよいのか、不安な方はカウンセリングの際に確認しておくことをおすすめします。
矯正治療中に虫歯が見つかった場合の対処法
矯正治療中に虫歯が見つかった場合の対処法は、初期の虫歯の場合と大きな虫歯の場合とで異なります。
ここではそれぞれの対処法について解説します。
初期の虫歯の場合
初期の虫歯の場合、経過観察をしながら矯正治療を続ける場合があります。
矯正治療に影響が出ない場合、矯正器具を付けた状態で虫歯治療を済ませることもあります。
虫歯治療を行うかどうかは、歯科医師や歯科衛生士と相談して決めましょう。
大きな虫歯の場合
大きな虫歯の場合、矯正治療を一度中断して虫歯治療を優先して行うケースが多いです。
大きな虫歯を放置していると症状が進行して痛みが出るだけでなく、矯正治療にも悪影響を及ぼす恐れがあるためです。
矯正治療をスムーズに進めるためにも、虫歯治療を優先する必要があります。
また矯正治療を一度中断すると虫歯治療中に噛み合わせが変化することがあり、マウスピース矯正の場合は装置を再設計しなくてはいけません。
ワイヤー矯正の場合は装置を付けたままでは虫歯治療を行えないため、装置を一度外して虫歯治療後に再装着する形となります。
矯正治療中の虫歯を予防する方法
矯正治療中の虫歯を予防する方法は以下の5つです。
- 正しい歯磨きの仕方を学ぶ
- 定期的に専門的な口腔ケアを受ける
- 矯正装置を清潔な状態に保つ
- 歯のケアグッズを使う
- 虫歯になりにくい食生活を心がける
ここでは上記5つの方法についてそれぞれ解説します。
正しい歯磨きの仕方を学ぶ
虫歯予防の基本となる歯磨きですが、矯正治療中は特に丁寧に行う必要があります。
特にワイヤー矯正の場合、矯正装置は常に歯に装着したままとなるため、普段よりも歯磨きがしにくく食べかすや歯垢が溜まりやすくなります。
ワイヤー矯正中の歯磨きのポイントは以下の通りです。
磨く箇所 | 磨き方のポイント |
---|---|
ワイヤーの上部・下部 | ワイヤーに沿って斜め45度の角度で歯ブラシを歯に当てて磨く |
ブラケット周り | 歯ブラシを斜め45度の角度で当てて念入りに磨く |
ワイヤー下 | 毛先をワイヤーの下に通して磨く |
歯と歯肉の境目 | 矯正装置周りだけでなく歯と歯肉の間にも毛先を入れて磨く |
前歯の裏 | 歯ブラシを縦に当てて歯面、歯と歯の間を磨く |
奥歯 | 頬側と下側どちらも歯ブラシの毛先をしっかり当てて丁寧に磨く |
上記を参考に歯磨きをするのもよいですが、一番良いのは通っている歯科クリニックで矯正治療中の歯磨きの仕方を教えてもらうことです。
歯ブラシの正しい磨き方や力加減について教えてもらえるのはもちろん、矯正治療中に使ったほうが良い道具(フロス・歯間ブラシ・タフデントなど)も教えてもらえるでしょう。
磨き方のコツや使うべき道具は歯並びや矯正方法により異なるため、歯科衛生士からアドバイスをもらうことをおすすめします。
正しい歯磨きの仕方を教えてもらっても磨き残しが心配な場合は、『歯垢染色液』の活用を検討してみてください。
歯垢染色液は磨き残した歯垢を赤く着色するもので、自分の磨き残しの癖をチェックできます。
定期的に専門的な口腔ケアを受ける
矯正治療中の虫歯を予防するためには、定期的に専門的な口腔ケアを受けることが大切です。
歯科医院では、歯磨きでは取り除けない歯垢や歯石を除去する『PMTC』という専門的なクリーニングを受けることができます。
定期的にPMTCを受けることで虫歯・歯周病予防効果を高められるのはもちろんのこと、万が一虫歯ができてしまっても定期検診により虫歯を早期発見できます。
定期検診の頻度は口腔内の状況によって異なりますが、2~3か月に1度の頻度がおすすめです。
矯正装置を清潔な状態に保つ
矯正治療中虫歯を予防するためには、歯だけではなく矯正装置も清潔な状態に保つことが大切です。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正のそれぞれのケアのポイントは以下の通りです。
- ワイヤー矯正:普段以上に丁寧な歯磨きをして装置の表裏両面を清潔に保つ
- マウスピース矯正:水またはぬるま湯で洗い、汚れが不安な場合は専用の洗浄剤を使用する
マウスピースは熱湯で洗うと変形するため、必ず水かぬるま湯で洗うようにしてください。
歯のケアグッズを使う
矯正治療中は歯のケアグッズも有効活用しましょう。
- MIペースト:歯磨き後に塗布することで再石灰化を促進する(牛乳・乳製品アレルギーの方は使用不可)
- 矯正用歯ブラシ:ワイヤーやブラケット周りも磨きやすい形状になっている歯ブラシ
- タフトブラシ:通常の歯ブラシでは毛先が届きにくいところも磨きやすいヘッドが小さな歯ブラシ
- 歯間ブラシ:歯と歯の間や矯正装置周りの清掃に適したブラシ
- デンタルフロス:歯と歯の間やワイヤー周りの清掃に適したアイテム
歯科医院では上記のようなケアグッズを取り扱っている場合もあるため、聞いてみると良いでしょう。
虫歯になりにくい食生活を心がける
虫歯を予防するためには、虫歯になりにくい食生活を心がけることも大切です。
虫歯は虫歯菌と糖質によって発生するため、虫歯になりやすい甘い食べ物はできるだけ避けるようにしましょう。
虫歯になりやすい食べ物としては以下が挙げられます。
- 粘度の高いもの
- 歯にくっつくもの
- 甘いもの
- 口の中に長く留まりやすいもの
具体的には飴やキャラメル、チョコレート、ジュース、スポーツ飲料などです。
上記の食べ物をなるべく避けるのはもちろん、間食を減らしたり食後すぐの歯磨きを徹底したりするのも大切です。
マウスピース矯正は比較的虫歯になりにくい
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比べて虫歯になりにくいとされます。
その理由は取り外して歯磨きできるためケアしやすいためです。
虫歯が心配な方は、ぜひマウスピース矯正を検討してみてください。
取り外して歯磨きできるためケアしやすい
マウスピース矯正は取り外して歯磨きできるため、ワイヤー矯正と比べるとケアしやすいメリットがあります。
矯正治療中も普段通りに歯磨きできるため、ワイヤー矯正と比べると虫歯のリスクを低減できるでしょう。
ただしマウスピースを長時間装着していると、口内が乾燥しやすくなったり唾液が歯に届きにくくなったりと、虫歯になりやすい口内環境になる可能性があります。
そのため治療中は水分補給をこまめにしたり、歯磨きを丁寧に行ったりすることが大切です。
また歯だけでなく、マウスピースも正しい方法できちんとケアしましょう。
虫歯ができてもすぐに治療を受けられる
マウスピース矯正は装置をいつでも取り外せるため、虫歯ができてもすぐに治療を受けられます。
万が一治療中に虫歯が見つかっても、矯正治療と並行して虫歯治療を進めることも可能です。
矯正治療をスムーズに進めたいのなら、ワイヤー矯正よりもマウスピース矯正の方がおすすめです。
ただし歯並びによってはマウスピース矯正ができない場合があり、歯科医師による診断のもと矯正方法を決定する必要があります。
マウスピース矯正をしたい場合はその旨を相談したうえで、歯科医師と矯正方法を検討しましょう。
まとめ
矯正歯科では虫歯を教えてくれないという意見がありますが、その理由として虫歯治療をした後に矯正治療を開始するケースが多いことが挙げられます。
さらに矯正歯科は一般歯科と異なり歯並びや歯の動きを主に診るため、虫歯の確認をあまり丁寧に行わない場合もあります。
虫歯が心配な場合はかかりつけの一般歯科で定期検診を受けたり、矯正治療中も診察の度に虫歯ができていないか確認すると良いでしょう。
矯正治療中の虫歯を予防するためには、正しい歯磨きの仕方を学んだり定期的に専門的な口腔ケアを受けたり、矯正装置を清潔な状態に保ったりすることが大切です。
音羽歯科クリニックでは、虫歯のリスクが少ないマウスピース矯正に対応しています。
矯正治療前にはレントゲンや歯科用CT、口腔内カメラなどによる検査診断も行うため、虫歯が不安な方はぜひ当院までご相談ください。