矯正歯科を途中で変えるときにかかる費用は?転院する場合にするべきことも解説
矯正治療は1~3年程度の通院が必要となりますが、その間に引越しやライフスタイルの変化によって通院が難しくなる場合があります。
万が一通院が難しくなった場合、矯正歯科を途中で変えることは可能なのか、不安に思う方も少なくないでしょう。
この記事では、矯正歯科を途中で変える場合の注意点について解説します。
矯正歯科を途中で変える場合の費用や必要な書類などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
矯正歯科を途中で変えることは可能?
矯正歯科を途中で変えることは可能です。
特に問題がない場合は同じ医院で最後まで治療をするのが望ましいですが、引越しや就職、留学などの理由により途中で転院(転医)する方も珍しくありません。
ただし審美目的の矯正治療は歯科医院によって治療プランが異なるため、転院前にあらかじめ確認しておく必要があります。
矯正歯科を途中で変える場合によくある理由
矯正歯科を途中で変える場合によくある理由として、以下が挙げられます。
- 引越し
- 就職や結婚などによる生活スタイルの変化
- 留学
- 医師に対する不信感
ここでは上記4つの理由についてそれぞれ解説します。
引越し
矯正歯科を途中で変える方によくある理由の一つが、転勤や転校などによる引越しです。
矯正治療は治療期間が1~3年程度と長期間にわたり、さらに少なくとも1~3か月に1回の頻度で通院しなくてはいけません。
引越し先によっては通院が難しい距離になってしまうこともあり、その場合は転院せざるを得ないといえます。
就職や結婚などによる生活スタイルの変化
就職や結婚などによって生活スタイルが変化すると、通っている矯正歯科の診療時間内に通院するのが難しくなってしまうケースがあります。
歯科医院の中には矯正歯科医が常駐していない場合があり、その場合は特に都合を合わせるのが難しくなるでしょう。
思うように都合がつかず通院のタイミングがずれてくると、治療の進捗に影響が出たり、歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼす恐れもあります。
通院が難しくなったら無理に同じ歯科医院に通い続けるのではなく、通いやすい矯正歯科に変えることを検討したほうが良いでしょう。
留学
留学により、やむを得ず矯正治療を一時中断するケースもあります。
留学先の海外のクリニックでも技術力の高いところはありますが、日本人の歯の矯正は難しいといわれているため、クリニック選びには注意が必要です。
留学先で治療を行わない場合は、矯正装置をいったん外して渡航し、留学期間中はリテーナーという保定装置を付けて過ごすケースが多いです。
リテーナーを付けることで治療途中の歯並びを維持できるため、帰国後に治療を再開する形となります。
医師に対する不信感
医師に対する不信感が募ったことが理由で、矯正歯科を変える方もいます。
例えば治療に関する説明が不十分であったり、治療の効果を感じられなかったりすると、不安に思ってしまうことがあるのです。
矯正治療は医師との二人三脚で治療を続けていくため、やはり相性がとても重要になります。
医師に対する不信感は矯正治療の失敗になり得るため、途中で信頼できるほかの医師に変えるケースも少なくありません。
矯正歯科を途中で変える場合の費用はどうなる?
矯正歯科を途中で変える場合に留意しておきたいポイントは以下の4つです。
- 治療の進行状況に合わせて費用が返金される
- 基本的に全額返金は難しい
- マウスピース矯正の場合は返金が難しい
- 転院には追加費用が発生する
ここでは上記4つについてそれぞれ解説します。
治療の進行状況に合わせて費用が返金される
矯正歯科を途中で変える場合、治療の進行状況に合わせて費用が返金されます。
返金額の目安は日本臨床矯正歯科医会で規定が設けられており、その金額は以下の通りです。
治療のステップ | 返金額の目安 |
---|---|
全歯の整列 | 60~70%程度 |
犬歯の移動 | 40~60%程度 |
前歯の空隙閉鎖 | 30~40%程度 |
仕上げ | 20~30%程度 |
保定 | 0~5% |
出典元:日本臨床矯正歯科医会
上記は全額支払い済みの場合の返金額の目安となり、最大で60~70%程度戻ってくる場合もあります。
基本的に全額返金は難しい
矯正歯科を途中で変える場合、基本的に全額返金は難しいと考えてよいでしょう。
すでに治療した費用は支払う必要があるためです。
ただし歯科医院側に何らかの原因がある場合、全額返金される可能性があります。
特に治療に問題なく途中で矯正歯科を変える場合は、治療の進行状況に合わせた費用が返金されることになります。
マウスピース矯正の場合は返金が難しい
ワイヤー矯正は治療の進行状況に合わせた費用が返金されることが多いですが、マウスピース矯正の場合はそもそも返金対応自体が難しい可能性が高いです。
マウスピース矯正はワイヤー矯正と異なり、治療に使用するマウスピースを先に作成してから治療を開始するためです。
すでに作成済みのマウスピースの費用は支払わなくてはいけないため、返金は難しいと考えておいたほうが良いでしょう。
転院には追加費用が発生する
矯正歯科を途中で変える場合、転院に際して追加費用が発生する点に注意が必要です。
具体的には以下のような追加費用が発生する可能性があります。
- 書類(紹介状、継続治療依頼書、転院のための資料など)の作成費用
- 転院先での検査費用や診断料
矯正治療にかかる検査費用は保険が適用されない点に注意しましょう。
また矯正治療はクリニックごとに治療プランが異なる自由診療となるため、矯正費用の負担が増える可能性もあります。
矯正歯科を途中で変えるデメリット
矯正歯科を途中で変えるデメリットは以下の4つが挙げられます。
- 治療が長引く可能性がある
- 虫歯や歯周病のリスクがある
- 治療を途中でやめることで歯並びが乱れる恐れがある
- 治療費がかさむ
ここでは上記4つのデメリットについてそれぞれ解説します。
治療が長引く可能性がある
矯正歯科を途中で変える場合、転院先の矯正歯科を受診するまでの間に時間が空いてしまう恐れがあります。
治療が中断される期間が長引くと口内環境が変化してしまうことがあり、それによって治療が長引く可能性があるのです。
また転院先で一から治療計画を立て直す場合もあり、その場合はさらに治療期間が長引く恐れがあります。
虫歯や歯周病のリスクがある
矯正治療には様々な矯正方法がありますが、中でも注意が必要なのが歯に装置を装着する『ワイヤー矯正』です。
ワイヤー矯正は歯磨きがしづらくなるデメリットがあり、自由に装置を付け外しできるマウスピース矯正と比べると虫歯や歯周病のリスクが高いです。
矯正歯科の転院のために矯正治療が途中で中断されると、その間に適切なメンテナンスケアが行えず、虫歯や歯周病のリスクがさらに高まる恐れがあります。
矯正治療中に虫歯や歯周病が発生した場合、一度治療を中断して虫歯治療を優先させなくてはいけなくなることもあるため、結果的に治療期間が長引く原因になります。
治療を途中でやめることで歯並びが乱れる恐れがある
矯正治療を途中でやめると、せっかく整えた歯並びが再び乱れてしまう恐れがあります。
これは後戻りといわれる現象で、矯正治療では後戻りを防ぐために、歯並びを整えた後は『リテーナー』という保定器具を装着して歯並びを維持します。
リテーナーを装着せずに治療を中断すると後戻りの可能性が高まるため、矯正歯科を途中で変える場合は治療の間隔が空きすぎないように注意しなくてはいけません。
治療費がかさむ
矯正歯科を途中で変える場合、治療費がかさむ可能性がある点に注意が必要です。
転院する際に書類作成費用や検査費用などが掛かるのはもちろんのこと、転院先での矯正治療にかかる費用も考慮しなくてはいけません。
矯正治療に係る費用や期間、治療方針は医院によって異なり、矯正治療を途中から行う場合でも治療費全額を負担しなくてはいけない場合もあるのです。
現在通っている矯正歯科での返金額や転院先の治療に係る費用はあらかじめ調べておきましょう。
矯正歯科を途中で変える場合にやるべきこと
矯正歯科を途中で変える場合にやるべきことは以下の3つです。
- 担当の医師に早めに相談する
- 転院先のクリニックを決める
- 転院に必要なものを準備する
ここでは上記3つについてそれぞれ解説します。
担当の医師に早めに相談する
引越しやライフスタイルの変化、留学などにより、現在通っている矯正歯科への通院が難しくなる場合はなるべく早めに担当の医師に相談しましょう。
相談することで今後の流れや転院の注意点などを教えてくれます。
引継ぎ資料の作成には時間がかかるため、転院が必要と分かったらすぐに相談しましょう。
転院先のクリニックを決める
担当医師に相談したら転院先のクリニックを決めましょう。
クリニックを決めるときのポイントは以下の3つです。
- 継続して同じ治療を受けられるか
- 受け入れ態勢は整っているか
- 推薦の転院先を紹介してもらうことも可能
それぞれのポイントについて解説します。
継続して同じ治療を受けられるか
矯正歯科の転院をするうえで大切なポイントの一つが、継続して同じ治療を受けられるかという点です。
矯正治療にはさまざまな方法があるため、これまでと同じ治療を受けられるクリニックを選ぶのがベストでしょう。
矯正方法を変える場合、一から治療計画を立て直したり矯正装置を作成し直したりする必要があります。
治療費がかさむ原因にもなるため、なるべく同じ治療を受けられるクリニックを選びましょう。
受け入れ体制は整っているか
受け入れ体制が整っているクリニックを選ぶのも大切なポイントです。
矯正治療は長期間に及ぶため途中で転院するケースも珍しくなく、他院からの受け入れを歓迎しているクリニックも多くあります。
受け入れ体制が整っているかどうかは、ホームページまたは電話やカウンセリングで直接確認しましょう。
推薦の転院先を紹介してもらうことも可能
担当の医師に転院したい旨を相談すると、推薦の転院先を紹介してもらえる場合があります。
同じ治療を受けられるか、受け入れ体制は整っているかという2つのポイントをクリアしやすいため、可能であれば紹介してもらった転院先で治療を受けることが望ましいです。
転院に必要なものを準備する
転院には以下のようなものを準備する必要があります。
- 治療当初の資料
- 治療当初の診断内容
- 治療費の契約内容
- 実際の治療内容
- 支払った治療費
クリニックを紹介してもらった場合は、現在通っている歯科医院からの紹介状も準備しておきましょう。
上記の他、転院先のクリニックから求められるものがあれば準備するようにしてください。
まとめ
歯科矯正は治療期間が長期間に及ぶため、引越しやライフスタイルの変化、留学などの理由で矯正歯科を途中で変えるケースは珍しくありません。
矯正歯科を途中で変える場合に留意しておきたい点が、治療費は進行状況に合わせて返金されること、基本的に全額返金は難しいこと、マウスピース矯正は返金対応が難しいことです。
また転院には追加費用が発生するため、その点も注意が必要になります。
音羽歯科クリニックでは、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらにも対応しています。
患者さん一人ひとりの状況に合わせた治療やメンテナンスを行っているため、矯正治療に関して不安なことがある場合はぜひ気軽にお問い合わせください。