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理事長コラム

顔面神経麻痺について

krankeNさんの質問『最近目の周りの筋肉がピクピクするのですが、顔面神経麻痺でしょうか???』

右眼瞼に緊張するとピクピク筋肉が自然に動いてしまう様で、眼をつぶってもらっても眼が閉じない事も無く(麻痺性兎眼)口笛を吹いて貰っても口が曲る事も無いのでこれは顔面神経麻痺では無い。たぶん『眼瞼痙攣』では無いかと思う。

眼の周りには眼輪筋(がんりんきん)といって瞼の開閉に必要な顔面神経支配の筋肉が有るのね。

眼瞼痙攣とは、この眼輪筋に自分の意志とは関係無く力の掛る病気の事で中高年層に好発すると言われている。

初期症状はまぶしさを感じたり、目がパチパチする事から始まる。

その症状は明るい場所に移動した時や精神的ストレスで悪化する。

ひどくなると眼瞼を閉じる力が続く様になり日常生活に支障をきたす様に成る事もある。

でも一時的に眼瞼がピクピク痙攣する程度であれば、単なる疲れ目の時に出る事が多いので休めてもらえば自然に治ると言われている。

(眼瞼ミオキニア)

ここでもう1つ似たような症状を発する『片側顔面痙攣』について触れて置く。

顔面神経が圧迫される事によりほとんどが片側性に出る事が多いが、眼輪筋だけでなく口の周りの筋肉(口輪筋)まで痙攣する事がある。

これは顔面神経の元を血管が圧迫する事で起こる事が多い。

症状としては、片方の目の周りの筋肉の軽いピクピクから始まり次第に同じ側の額・頬・口へと広がって行く。

顔がつっぱったり、痙攣側の筋肉まひが生じて来る事もある。

やはり40代から70代に発症率が上がる。

いずれも過度のストレスが掛った事から発症する事が多いので眼を酷使したら休める事に心掛ければ自然に治るのね。
それでも治らない場合は、『ボトックス治療』と言うのがある。

痙攣している瞼の筋肉(眼輪筋)に痙攣を抑える作用のある注射をしてあげる方法。

しかしこれに使う注射液は、食中毒の原因菌の『ボツリヌス菌』なのね。

この菌の中毒症状は、全身の筋肉が麻痺してしまう事に有る。

これを利用してごく少量を筋肉に注射する事によって筋肉の緊張が取れ痙攣が一時的に治まると言う物なのね。

効果期間は、注射後3か月から4カ月だと言われている。

その後は元に戻る。

副作用もある。

注射した所の筋肉の力が弱くなりすぎて、瞼を閉じるのが難しくなったりする場合があるそうだ。

痙攣している筋肉以外にも薬の作用が効いてしまい、かえって瞼が開けにくくなったり、物が二重に見えたり、顔の表情が変わってしまったりする事がある様なので、しっかり熟練を積んだ眼科医を選ぶ事も大切だよなぁ。

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