認知症と家族の会 映画『父と僕の終わらない歌』
先日、寺尾聰さん主演の映画『父と僕の終わらない歌』を観てきました。
アルツハイマー病と診断された父親と、それを支える家族の物語です。
印象的だったのは、本人は病気をあまり気にしていないのに、家族は世間に知られることをためらっていた場面です。
しかし、病気が進行しても、息子は父親の大好きだった音楽を諦めず、昔の仲間とのライブを実現させます。
そして、歌えなくなった父親が息子の支えによって「スマイル」を歌い出す場面には、本当に涙が出ました。
認知症になっても、その人の人生や思い出、生きがいまで失われるわけではありません。
家族や周囲の人たちが、その人の好きだったことを大切にし、寄り添い続けることの素晴らしさを教えてくれる映画でした。
特に心に残ったのは、認知症になった本人と、それを受け止める家族の気持ちの違いですね。
本人はアルツハイマー病と診断されてもあまり気にしていない。しかし家族は世間に知られることを恐れ、公表をためらう。これは実際の認知症のご家族にも見られる葛藤だと思います。
そして、病状が進んでも息子さんが父親の大好きだったバンドのライブを実現させる。
最後に、歌えなくなった父親が息子の支えで「スマイル」を歌い出す場面。
ここには、認知症ケアで大切なことが表現されています。
「できなくなったことを数えるのではなく、今でもできること、好きだったことを大切にする」
音楽は、認知症が進行しても親しんだ歌や旋律が比較的保たれる場合があります。ただし、すべての方に同じ効果があるわけではありません。
以前、訪問診療でパーキンソン病の患者さんにギターを持っていこうとお話し、一緒に佐々木勉 作詞・作曲『あなたのすべてを』を歌った時の事を思い出す。
今回の映画と、どこか通じるものを感じます。
認知症の方にとって、音楽が心を動かす大切なきっかけになると思う。

