小児矯正は意味ない?メリット・デメリットと小児矯正をするべき症状

「小児矯正は意味がない」という情報を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
または、小児矯正を始めようとしたところに小児矯正は意味がないという情報が舞い込んで困惑している方もいるかもしれません。
しかし、子どものころから矯正を行うことのメリットは多く、意味はあります。
この記事では、小児矯正は意味がない、やらなきゃよかったと言われる理由と、小児矯正のメリット・デメリット、小児矯正を始めないと後悔する症状について紹介します。
小児矯正には意味がないの?と不安を感じている方は、ぜひご覧ください。
小児矯正は意味ない・やらなきゃよかったと言われる理由
小児矯正には意味がない、やらなきゃよかったという声が聞こえてくることがあります。
しかし、小児矯正は実際には、子どもの時にしかできないメリットの多い治療です。
ではなぜ「小児矯正は意味がない」と言われることがあるのか、3つの原因を紹介します。
一期治療について誤解がある
小児矯正は一期治療と二期治療があり、意味がないと言われる原因は一期治療について誤解がある場合があります。
一期治療とは、乳歯と永久歯が混在している時期に行う治療で、顎の成長を促し永久歯が正常な歯並びになる土台を作るのが目的です。
拡大床という装置を使い、骨がやわらかくコントロールしやすい子どもの時期に顎を正常な大きさにします。
顎の成長が落ち着いた後はこの治療を受けることはできません。
二期治療は、永久歯が生え揃った頃に行う大人の矯正と同様の矯正治療で、歯並びを整えることが目的です。
一期治療は、乳歯と永久歯が混在する時期に行われるため、永久歯が生えそろってから二期治療に入るならば二度手間に感じる、期間が延びただけのように感じるなどの理由から、意味がないと思われることが少なくありません。
しかし、一期治療は多くのメリットがある治療です。
子どもの成長を利用して顎の拡大をすることで、永久歯が生えるスペースを確保することができ、二期治療で行う歯並びの矯正時に抜歯を避けることができます。
一期治療を行っておくことで、二期治療が短い期間で終わる可能性が高く、負担を減らすことにもつながります。
また、健康面に影響を与える指しゃぶりや口呼吸などの癖を治療で改善することにより、アトピー性皮膚炎や口臭の改善にもつながります。
後戻りしてしまった
小児矯正に意味がないと言われる原因の一つに、歯の後戻りがあげられます。
後戻りの原因は矯正治療が終わった後に設けられる保定期間中(矯正治療が終わったあとに歯を固定するための期間)のメンテナンス不足です。
保定装置は1日20時間の装着が必要で、1日つけないだけでも、歯が後戻りをはじめ、装置に入らなくなる場合もあります。
矯正治療を意味ないものにしないために、しっかりと保定装置をつけ定期的に検診を受けることが大切です。
不必要な抜歯や長すぎる治療期間
不必要な抜歯や長すぎる治療期間が原因で、小児矯正は意味がないと言われるケースもあります。
十分な検査や説明がないまま抜歯をすすめられるケースや、事前のカウンセリングの際に言われた年数よりも長く治療期間がかかっている場合は、セカンドオピニオンも検討しましょう。
矯正治療では必ず抜歯が必要となるわけではないため、抜歯と言われた際にはレントゲン写真や検査結果を見たうえでしっかりと歯科医師に説明を求めましょう。
小児矯正の治療期間は、一般的に一期治療が1~3年、二期治療が1~2年程度です。これ以上にかかる場合には、歯科医師に相談することが大切です。
小児矯正を検討する際に、矯正歯科でカウンセリングを受けながら歯科医師とコミュニケーションをとり、信頼できる歯科医院を探しましょう。
小児矯正のメリット・デメリット
小児矯正にはメリットとデメリットがあります。
両方を理解したうえで小児矯正を始めないと矯正治療時に意味がないと思ってしまう可能性があります。
ここでは、小児矯正のメリットとデメリットを紹介します。
メリット
小児矯正のメリットは、以下の6つがあげられます。
- 顎の成長をコントロールできる
- 抜歯のリスクが少ない
- 歯が動きやすい
- 適応能力が高い
- 痛みが少ない
- 治療費が抑えられる
それぞれのメリットについて、以下で詳しく見ていきます。
顎の成長をコントロールできる
顎の骨の正しい成長を促すことができるのは、小児矯正のメリットです。
骨格が完成している大人では抜歯や外科手術を検討する可能性があるケースでも、子どものうちに矯正を行うことで顎の骨格的な問題を改善することができます。
抜歯のリスクが少ない
一般的な矯正治療では、歯を動かすスペースが少ない場合に抜歯が検討されることが少なくありません。
しかし、小児矯正で顎の成長を促し永久歯が生えるスペースを確保しておけば、抜歯をせずに治療を行える可能性が高くなります。
抜歯には精神的、肉体的不安が伴うため、抜歯の可能性を減らすことができるのは小児矯正の大きなメリットです。
歯が動きやすい
子どもの骨は柔らかく、歯が動きやすいという特徴をもっているため、弱い負荷でも調整ができます。
費用面や期間だけでなく、治療期間中の身体への負担も減らすことができます。
適応能力が高い
子どもは適応能力が高いため、装置の違和感に慣れるのも早いといわれています。
装着する装置への違和感や痛みが少なく済むのは小児矯正のメリットといえるでしょう。
痛みが少ない
歯が動きやすく適応能力が高い子どもは、矯正治療時の痛みを感じにくいです。
大人になってからの矯正治療よりも痛みや違和感などの負担が軽いのは小児矯正だからこそのメリットです。
治療費が抑えられる
小児矯正は大人になってからの矯正よりも治療費が抑えられることもメリットのひとつです。
歯の移動がスムーズに行えるため、一期治療だけで終わる場合には、二期治療のみの場合よりも費用は安くなります。
また、一期治療を行ってから二期治療に入る場合でも、抜歯や追加の治療が少なくなるため、二期治療のみより治療費は抑えられることもあります。
デメリット
小児矯正のデメリットは以下の4点です。
- 保護者の協力が不可欠
- 子どものモチベーションが重要
- 口腔ケアを丁寧に行わなければならない
- 保険が適用されない
これらのデメリットも考えたうえで、小児矯正を行うか検討することが後悔しないために重要です。
保護者の協力が不可欠
小児矯正は、矯正装置のメンテナンスや装着時間など、子ども自身では管理できないことも多く、保護者の協力が不可欠になります。
固定用の矯正装置をつける場合は、口腔内の清潔を保つのが難しくなるため、保護者が気を付けてあげる必要があります。
また通院の送迎をするなど、小児矯正は保護者の協力なしには治療が行えません。
子どものモチベーションが重要
小児矯正は親の希望で行われることが多いため、子どものモチベーションがついていかないことも少なくありません。
子ども自身のやる気がなければ、通院や装置を長い間つけ続けることも難しくなります。
小児矯正を始める際には、子どもに治療の重要性を理解してもらうことが大切です。
モチベーションアップのための親のサポートも必須となるでしょう。
口腔ケアを丁寧に行わなければならない
矯正装置の種類によっては、口腔内や装置に汚れが付着しやすく、ケアを丁寧に行わなければいけません。
口腔内を清潔に保てないと、虫歯や歯周病の原因にもなり、矯正治療が延長する可能性もあります。
子どもの年齢によっては親が仕上げ磨きを毎日行う、フロスを使うなどのサポートが必要になります。
保険が適用されない
歯科矯正は保険が適用されない自由診療です。
歯科医院によっても値段に幅があり、高額になりやすいため、金銭的な負担はデメリットでしょう。
小児矯正の費用の負担は医療費控除やデンタルローンなどで軽減することができます。
分割払いに対応している歯科医院もあるため、費用面が心配の場合は相談してみましょう。
小児矯正を始めないと後悔する症状
小児矯正は意味ないと思っている方でも、始めないと後悔する症状があります。
下記の症状は、見た目の問題だけでなく、将来の子どもの健康にも関わる可能性が高く、早期に治療することで、子どもの負担を軽減できます。
反対咬合
反対咬合とは、下の歯が上の歯よりも前方に突出している状態のことです。
反対咬合を放置すると、歯を支える顎骨へ負担がかかりやすく、歯がぐらついてしまうことがあります。
将来、骨格性下顎前突という症例へ進行する可能性もあるため、早めに治療を受けることをおすすめします。
交叉咬合
上の歯が下の歯に被っているのが通常の嚙み合わせですが、上下の歯がどこかで交叉して下の歯列が突出している状態を交叉咬合(クロスバイト)といいます。
交叉咬合を放置すると、顔の歪みや顎関節症になる恐れがあります。
萌出不全
萌出不全は、歯の生え変わり時期が大幅に遅れ、永久歯が埋まったままの状態にあることです。
原因はさまざまで、歯や骨に異常がある場合や全身の健康状態による影響も考えられます。
萌出不全を放置すると、将来的に歯並びが悪くなる、埋まっている歯と顎の骨が癒着する骨性癒着になる可能性が高くなります。
開咬(かいこう)
歯を噛み合わせたときに、上下の前歯に隙間が開いてしまう状態を開咬といい、幼少期の指しゃぶりや舌の癖が原因のことが多いです。
開咬を放置すると、発音に支障をきたす場合があります。
上顎前突
上顎前突は上の歯が前に突出している、いわゆる出っ歯や反っ歯と呼ばれる状態のことです。
上顎前突を放置すると、ドライマウスや虫歯や歯周病のリスクが高まります。
小児矯正で後悔しないための注意点
小児矯正を検討するにあたり、意味がなかったと後悔しないための注意点があります。
効果的な小児矯正にするためにも、ぜひご覧ください。
保定装置をしっかり装着する
矯正治療終了後、綺麗な歯並びを維持するためには保定装置をしっかり装着することが重要です。
特に矯正治療が終わったばかりの歯は、たった1日はずしたままでいるだけで、すぐに後戻りしてしまいます。
矯正治療が終わっても、歯科医師の指示を守って保定装置の装着は忘れずに行いましょう。
信頼できる歯科医院を選ぶ
小児矯正は、信頼できる歯科医院を選ぶことが重要です。
小児矯正は大人の矯正とは異なり、始める時期の見極めが非常に重要で、装置の使い分けも一人ひとりに合ったものにしなければなりません。
小児矯正の歯科医院選びは、小児矯正の知識や治療経験が豊富な歯科医師を選んで相談しましょう。
また、歯科医師とのコミュニケーションをきちんととれるか、矯正用の設備や装置が充実しているかなどをカウンセリングの際に見極めることも大切です。
まとめ
小児矯正は意味がないと思われることもありますが、その原因は、一期治療への誤解、歯の後戻り、歯科医院選びがうまくいかなかったことなどがあげられます。
小児矯正にはメリットとデメリットがあり、それぞれを把握したうえで検討することが重要です。
また、小児矯正を始める際には小児矯正の知識や治療経験が豊富な信頼できる歯科医院を選びましょう。
『音羽歯科クリニック』では、小児矯正の治療も多く行っています。
床矯正装置、マルチブラケットやインビザラインなど、さまざまな矯正装置を用意し、患者さんの症状に合わせた最適な治療法を提案します。
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小児矯正を始めるかお悩みの方は『音羽歯科クリニック』にぜひご相談ください。