マウスピース矯正は痛い?痛む原因と期間・対処法を解説

矯正治療の中で比較的安価で見た目も目立ちにくいマウスピース矯正は、検討しやすい矯正方法です。
しかし、マウスピース矯正を検討するにあたって、痛みがあるかという不安を持っている方も少なくありません。
また、現在マウスピース矯正中の痛みがあり、不安を感じている方もいるかもしれません。
この記事では、マウスピース矯正はどのくらい痛いのか、痛みの原因と痛んだ時の対処法や注意点を紹介します。
マウスピース矯正は痛みを抑えた治療法
マウスピース矯正は、代表的な矯正方法であるワイヤー矯正に比べて痛みを感じにくい治療法です。
矯正治療中の痛みは、歯が正しく動いている時でも感じます。
歯を移動させる過程で、歯槽骨内で歯根膜が伸縮し、引っ張られたり圧迫されたりするため、矯正中はほとんどの方が痛みを感じます。
ワイヤー矯正では、一気に歯を動かす力をかけるため、痛みを感じやすいでしょう。
マウスピース矯正はゆっくりと歯を動かす治療法で、ワイヤー矯正よりも歯を動かす痛みを感じにくいとされています。
矯正を始めたいけれど痛みを感じるのが嫌だと思う方は、マウスピース矯正ができるかどうかを歯科医院で相談してみましょう。
マウスピースの痛みのレベルはどのくらい?
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正の3分の1程度の痛みと言われています。
その理由は主に2つあります。
- 歯をゆっくり動かすから
- 口内を傷つけるリスクが少ないから
マウスピース矯正では、1〜2週間に1度の頻度でマウスピースを交換して歯を動かします。
1枚あたりのマウスピースは最大で歯を0.25mm動かす設計になっており、ワイヤー矯正と比べるとゆっくりとした速度で歯を動かせるため、痛みを感じにくいのです。
また、マウスピースはポリウレタン樹脂を使用していることが多く、薄く柔軟性があるため、歯にフィットする設計です。
金属のワイヤーやブラケットを使うワイヤー矯正よりも、柔らかなマウスピースは口内を傷つけるリスクが少なくなります。
マウスピース矯正の痛みの原因
マウスピース矯正は痛みが少ない治療法ですが、痛みがまったくないわけではありません。
マウスピース矯正で痛みを感じる場合、以下のような原因が考えられます。
- 歯が動いているから
- 新しいマウスピースに慣れていない
- 顎間ゴムの痛み
- アタッチメントに引っかかっている
- マウスピースが口内を傷つけている
- 歯の後戻り
- 虫歯や炎症の場合も
それぞれの原因について詳しく解説します。
歯が動いているから
歯を動かす際の歯根膜の伸縮による痛みは、矯正中ではほとんどの人が感じており、矯正が正常に行われている証拠です。
マウスピース矯正は1〜2週間に一度のマウスピースの交換によりゆっくりと歯を動かしていきます。
段階的に歯を動かすことにより、痛みを分散できるため、マウスピース矯正は痛みを感じにくい治療法と言われているのです。
ワイヤー矯正は一気に歯を動かすため、痛みを強く感じやすく、早く歯が動くのではと思う方も少なくありませんが、1か月で歯が動く距離は1mm程度で、マウスピース矯正もワイヤー矯正も変わりません。
新しいマウスピースに慣れていない
初めてマウスピースをつけた際、また新しいマウスピースに交換した際に痛みを感じることがあります。
また、マウスピース矯正は1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換し、段階的に歯を動かします。
新しいマウスピースは、今までとは違う矯正力がかかるため、歯並びと新しいマウスピースが合うまでに痛みを感じやすいです。
顎間ゴムの痛み
顎間ゴムとは、マウスピース矯正の治療の効果を高めるために上下の歯にかける医療用ゴムのことです。
顎間ゴムをかけたときは、通常とは異なる痛みや違和感を感じることがあります。
アタッチメントに引っかかっている
マウスピース矯正では、歯に白いアタッチメントをつける必要があります。
アタッチメントがマウスピースの着脱時に引っかかり痛みを感じる場合が考えられます。
アタッチメントは、厚さ1mm程度のレジン素材でできており、マウスピースが歯に加える力を調整する役割があります。
アタッチメントは一度装着すると、矯正治療が終わるまで外すことができないため、痛みが出た際には、歯科医師に相談しましょう。
マウスピースが口内を傷つけている
マウスピースにわずかな出っ張りがあったり、とがっていると口腔内に傷ができて口内炎などの原因になることがあります。
アタッチメントはマウスピースが装着されていれば口内に直接触れることはありませんが、食事中などに口内の弱い皮膚に触れてしまうと、傷になる可能性もあります。
歯の後戻り
矯正治療できれいになった歯並びが戻ってしまうことを、歯の後戻りといいます。
マウスピース矯正では、マウスピースを1日20時間装着することで歯を矯正しますが、装着時間を守らないと歯が後戻りする可能性が高くなり、歯が後戻りした時にマウスピースを装着すると、痛みを感じやすくなります。
また、矯正治療が終わった後にはリテーナーという保定装置をつける期間がありますが、リテーナーを装着しないでいると歯の後戻りが起こります。
マウスピース矯正を行う場合には、マウスピースやリテーナーの装着時間を必ず守りましょう。
虫歯や炎症の場合も
マウスピース矯正中に、歯が虫歯や炎症を起こした場合も痛みが生じます。
マウスピース矯正の治療は2年程度かかるのが一般的で、しっかりケアができていないと、治療期間中に虫歯や歯茎の炎症を起こす場合もあります。
炎症の主な原因は歯と歯の間に溜まった食べかすなどによるプラークです。
歯ブラシだけではプラークを完全に除去することは難しく、デンタルフロスなども使用して口腔内のケアを行うことが大切です。
また、マウスピース自体も長時間装着することにより細菌が付着しやすくなるため、装置の定期的な清掃も重要です。
マウスピース矯正はいつまで痛い?ピークは?
マウスピース矯正で初めてマウスピースを装着した場合、数日~1週間ほど痛みが出るのは自然なことです。
新しくマウスピースを交換した場合にも痛みを感じることがありますが、2~3日で慣れることがほとんどです。
マウスピース矯正の痛みのピークはマウスピースを交換してから1日~2日程度で、最初の数枚のマウスピースが痛みを感じやすいとされています。
治療が進むにつれて歯や口内がマウスピースに慣れ、痛みが出にくくなることが多いため、長く痛みが続く場合には、歯科医院に相談しましょう。
マウスピース矯正が痛い場合の対処法
マウスピース矯正が痛い場合には以下のような対処法が考えられます。
- 痛み止めの服用
- ひとつ前のマウスピースに戻す
- 専用の着脱器具を使う
- マウスピースのとがっている部分を削る
- 食べ物は柔らかいものにする
- マウスピース・口腔内を清潔にする
- 定期的な受診
それぞれの対処法について詳しく解説します。
痛み止めの服用
マウスピース矯正で痛いと感じた場合には、歯科医師に相談して処方してもらった痛み止めを服用しましょう。
痛み止めの長期間の常用は、痛み止めの抗炎症成分が骨代謝を阻害し歯が移動しづらくなってしまう場合があるため、歯科医院で相談をしてからの服用をおすすめします。
ひとつ前のマウスピースに戻す
新しいマウスピースに交換してから痛みが長い間続く場合や、強い痛みが出る場合は、ひとつ前のマウスピースに戻して様子をみるケースもあります。
前のマウスピースに戻して数日装着した後に、もう一度新しいマウスピースに交換すると痛みが軽減する場合があります。
ただし、治療計画に支障が出てしまう可能性があるため、自己判断で行わず、必ず歯科医師に相談してから戻すようにしましょう。
専用の着脱器具を使う
マウスピースの着脱時にアタッチメントが邪魔をしてうまく着脱できず、無理に外そうとして痛みが出る場合があります。
無理にマウスピースを外そうとするとアタッチメントが外れてしまい、矯正の効果が弱まってしまうため注意が必要です。
スプーンのような専用の着脱器具を使うと、無理な力を入れずにマウスピースを外すことができ、口腔内も装置も傷つけにくくなります。
マウスピースのとがっている部分を削る
マウスピースの研磨不足で口内が傷ついてしまって痛みが出ている場合は、とがっている部分を削ることで対処できます。
紙やすりを使ってマウスピースのとがっている部分や気になる部分を少しだけ削ると、傷になったり、歯茎などに当たることを防ぎ、痛みを軽減できます。
食べ物は柔らかいものにする
矯正中は歯根膜が伸縮し敏感になっており、少しの刺激でも痛みが出やすくなります。
そのため、硬い食べ物など噛む力が強く必要になる場合に痛みが出ることもあります。
マウスピース矯正で痛みが出ている場合には、柔らかい食べ物がおすすめです。
マウスピース・口腔内を清潔にする
虫歯や炎症が痛みの原因となる場合もあるため、マウスピースや口腔内は清潔を保つことが重要です。
マウスピースは毎食後の洗浄が望ましいですが、難しい場合でも1日に1回は必ず洗浄するようにしましょう。
柔らかいブラシや指で優しく洗い、ぬるま湯で流す洗浄方法を毎日行い、2~3日に1回は洗浄液につけるようにしましょう。
定期的な受診
定期的に歯科医院を受診することで、マウスピースの不具合や後戻り、口腔内のトラブルによる痛みを避けることができます。
また、痛みが続く時には自己判断で我慢をするのではなく、歯科医院に相談することが大切です。
マウスピース矯正が痛い時の注意点
マウスピース矯正中に痛みが出た場合、やってはいけないことがあります。
痛みが出ている時にやってしまいがちな行動ですが、治療の効果がなくなる、痛みが強くなる可能性が高くなります。
マウスピースを長時間外すのはNG
マウスピースに慣れず痛みがあるからといって、長時間外すのはやめましょう。
歯が動いている痛みの場合、マウスピースを外すことで歯が後戻りしてしまい、再度マウスピースをつけてもさらに痛むこともあります。
早めに歯科医院を受診することが難しい場合でも、マウスピースは装着して過ごすことが大切です。
新しいマウスピースが痛くて仕方ない場合には、医師に相談して指示を仰ぎましょう。
硬いもの、冷やす、温めることはNG
マウスピース矯正中に痛みが出た場合には、刺激を与えないようにしましょう。
硬いものを噛むと不安定な歯に圧力がかかり、さらに痛みが増す場合があります。
あまり噛む力を必要としないやわらかいものを食べることをおすすめします。
また、ワイヤー矯正の場合は冷やすことで強制力が弱まることもありますが、マウスピース矯正の場合は、血流が悪くなり歯が移動しにくくなる可能性があります。
痛い部分を温めると血流がよくなり痛みが増すことも考えられますので、冷やすこと、温めることはどちらも避けてください。
まとめ
マウスピース矯正は、他の矯正方法に比べて歯を段階的にゆっくり動かすため、痛みが出にくい治療法です。
マウスピース矯正で痛みが出る原因は主に歯が動く痛みで、マウスピースを新しくしたり、ゴムをつけたりする治療上仕方ない痛みもあります。
どの痛みの原因であっても歯科医院で相談をすることで対処できる問題のため、気軽に相談してみましょう。
音羽歯科クリニックでは、マウスピース矯正のインビザラインを取り入れています。
患者さんのスケジュール、治療費などの要望を聞き希望に沿った治療を心掛けており、アットホームな雰囲気で患者さんの悩みに寄り添いながら診察を行います。
マウスピース矯正の痛みに関するお悩みはぜひ、音羽歯科クリニックにご相談ください。