低栄養改善対策
居宅往診時ご家族から栄養について相談された。
高齢者では「十分なエネルギー」と「十分なたんぱく質」が低栄養予防に重要です。
ご質問の小豆の効用ですが、あんドーナツそのものは砂糖や油も多く含みますが、小豆自体には次のような良い点があります。
小豆の主な効用
- 食物繊維が豊富
- 腸内環境を整え、便秘の改善に役立ちます。
- 食後の血糖値の急上昇を緩やかにする働きも期待できます。
- 植物性たんぱく質
- 筋肉や身体を作る材料になります。
- ただし肉・魚・卵・乳製品ほど量は多くないため、補助的な役割です。
- ポリフェノール
- 抗酸化作用があり、細胞の老化を抑える働きが期待されています。
- カリウム
- 余分な塩分の排出を助け、血圧管理に役立ちます。
- ただし腎機能が低下している方は摂り過ぎに注意が必要です。
- 鉄分や葉酸
- 貧血予防に役立つ栄養素です。
あんドーナツはどうか?
あんドーナツは
- 小豆の栄養は摂れますが、
- 砂糖と油が多く、高カロリーです。
食欲が落ちている高齢者では、「体重が減っている」「低栄養が心配」という場合には、エネルギー補給として悪い選択ではありません。
一方で、
- 糖尿病
- 肥満
- 中性脂肪が高い
などの方では、毎日たくさん食べるのは控えた方がよいでしょう。
あんドーナツが好きだと言う。机の上にあんドーナツの袋が置いてあったので
「小豆は身体に良い食べ物で、食物繊維やたんぱく質、ポリフェノールが含まれています。ただ、あんドーナツは砂糖と油も多いので、食欲がない時のエネルギー補給には良いですが、毎日何個も食べるよりは、牛乳やヨーグルト、卵、お魚なども一緒に食べて筋肉をつくる栄養を補いましょう。」
なお、一点だけ補足すると、75歳以上だから一律に男性1,800kcal・女性1,000kcalというわけではありません。必要エネルギー量は、体格や活動量によって変わります。一般的には75歳以上では、活動量が少ない方で男性約1,800~2,000kcal、女性約1,400~1,600kcalが一つの目安とされます。女性1,000kcalでは、多くの場合は少なすぎる可能性があります。
高齢者が毎日食べたい10食品(低栄養予防)
① 肉
- 筋肉を作る良質なたんぱく質
- 1日1回は食べたい
② 魚
- たんぱく質とDHA・EPAが豊富
- 認知機能や血管の健康にも役立つ
③ 卵
- 完全栄養食品に近い
- 1日1個程度がおすすめ
④ 牛乳・ヨーグルト・チーズ
- たんぱく質とカルシウムが豊富
- 骨粗しょう症予防にも役立つ
⑤ 大豆製品(豆腐・納豆など)
- 良質なたんぱく質
- 小豆も豆類ですが、たんぱく質は大豆ほど多くありません。
⑥ 野菜
- ビタミン・ミネラル・食物繊維を補給
⑦ 果物
- ビタミンCやカリウムを補給
- 食欲がない時にも食べやすい
⑧ 海藻
- ミネラル・食物繊維が豊富
⑨ いも類
- エネルギー源
- 食物繊維も豊富
⑩ 油脂
- オリーブオイルやごま油など
- 少量で効率よくエネルギーが摂れる
おやつも栄養になります
高齢者では、おやつは「楽しみ」だけでなく栄養補給にもなります。
おすすめは
- あんぱん
- あんドーナツ(食べ過ぎには注意)
- バナナ
- ヨーグルト
- プリン
- チーズ
- カステラ
- 焼き芋
私が往診でよくお勧めする一言
「年を重ねると、血糖値よりも『体重を減らさないこと』『筋肉を減らさないこと』が大切になる場合があります。毎食たんぱく質を意識し、食べられない時は間食も上手に利用しましょう。」
「さあ、にぎやか(に)いただく」の合言葉
高齢者の食事では、覚えやすい合言葉として**「さあ、にぎやか(に)いただく」**がよく使われます。
- さ:魚
- あ:油
- に:肉
- ぎ:牛乳・乳製品
- や:野菜
- か:海藻
- (に):豆類
- い:いも
- た:卵
- だ:大豆製品
- く:果物
この合言葉を意識すると、自然と栄養バランスが整いやすくなります。
「お口は健康の入り口です。よく噛んで、おいしく食べられることが、筋肉や体力、認知症予防にもつながります。歯とお口を守ることは、身体全体を守ることでもあります。」
認知症と家族の会でも、この考え方はきっと役立つと思います。

