コラム
認知症と家族の会 高齢者の栄養指導シリ-ズ④
水分補給と脱水予防
日頃往診で診ている高齢の患者さんでは、脱水は肺炎、尿路感染症、脳梗塞、転倒、便秘、せん妄などの原因にもなります。
以下のように整理すると、栄養指導や患者さんへの説明に使いやすいと思います。
なぜ水分が大切なのか
私たちの体の約60%は水分です。
水は次のような働きをしています。
- 血液を全身に循環させる
- 栄養や酸素を運ぶ
- 老廃物を尿として排泄する
- 体温を調節する
- 唾液や消化液を作る
- 関節を滑らかに動かす
高齢になるほど体内の水分量は約50%まで減少し、脱水を起こしやすくなります。
高齢者が脱水になりやすい理由
① のどの渇きを感じにくい
② 腎臓の働きが低下する
③ 食事量が減る
④ トイレを気にして飲まない
⑤ 利尿剤など薬の影響
⑥ 発熱や下痢
⑦ 夏の暑さだけでなく冬も暖房で乾燥する
脱水のサイン
初期症状
- のどが渇く
- 尿が少ない
- 尿の色が濃い
- 唇が乾く
- 皮膚が乾燥する
進行すると
- めまい
- 立ちくらみ
- 頭痛
- 倦怠感
- 意識がぼんやりする
- 転倒
- 血圧低下
さらに重症になると
- 熱中症
- 腎機能障害
- 脳梗塞
- 命に関わることもあります。
1日に必要な水分
一般的には
約1.5〜2L/日
この中には
- 食事から約800mL
- 飲み物から約1〜1.2L
- が含まれます。
※心不全や腎不全で水分制限がある方は医師の指示を優先します。
効率的な水分補給
一度に大量ではなく
コップ1杯(150〜200mL)を数回
飲む方が吸収されやすくなります。
おすすめのタイミング
- 起床時
- 朝食時
- 10時頃
- 昼食時
- 15時頃
- 夕食時
- 入浴前後
- 就寝前(少量)
飲み物の種類
おすすめ
- 水
- 麦茶
- ほうじ茶
- 牛乳
- 味噌汁
- スープ
大量には勧めないもの
- アルコール
- 甘いジュース
- 清涼飲料水
コーヒーや緑茶は適量なら問題ありません。
食事から水分を摂る
水分の多い食品
- スイカ
- メロン
- キュウリ
- トマト
- 豆腐
- ヨーグルト
- 果物
- 汁物
毎日の味噌汁も立派な水分補給になります。
お口の健康との関係
脱水になると
- 唾液が減る
- 口臭
- むし歯
- 歯周病
- 義歯が痛い
- 飲み込みにくい
- 誤嚥性肺炎
などが起こりやすくなります。
つまり
十分な水分補給は口腔機能を守る第一歩です。
患者さんへの一言
「のどが渇いてからでは少し遅いですよ。渇く前に少しずつ飲むことが、元気に長生きする秘訣です。」
歯科訪問診療で伝えたいポイント
最後にこの3つを強調すると印象に残ります。
- のどが渇く前に飲む。
- 一度にたくさんではなく、少しずつこまめに飲む。
- お口が乾く人ほど、水分補給と口腔ケアを続けることが誤嚥性肺炎の予防につながる。
音羽歯科クリニックからの健康アドバイス
「水分は最高の栄養です。」
年齢とともに、のどの渇きは感じにくくなります。
だからこそ、「渇いたら飲む」ではなく、「時間を決めて飲む」習慣が健康寿命を延ばします。
こまめな水分補給は、熱中症や脳梗塞、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。今日から意識して続けていきましょう。

