認知症と家族の会 トイレ問題
認知症と家族の会での相談、トイレ問題、何度も失敗する、挙句に紙パンツをトイレに流し詰まる、対処法は???
こうしたケースでは、**「本人に失敗させない工夫」と「紙パンツを便器に入れられない環境づくり」**を分けて考えると対処しやすいです。
認知症が進むと、尿意・便意は感じても「トイレを探す→衣類を下ろす→排泄する→紙パンツを処理する→流す」という一連の手順が途中で分からなくなることがあります。叱ったり「紙パンツは流さないで」と何度説明しても、記憶障害や遂行機能低下があると再発しやすいです。
特に今回なら、次の対策が現実的です。
- 時間を決めた誘導:起床後、食後、外出前、就寝前などに「トイレに行きましょう」と誘導する。失敗する時刻がある程度決まっているなら、その30分ほど前に誘導します。
- トイレを分かりやすくする:「トイレ」と大きく表示し、夜間は足元を明るくします。衣類もベルトや複雑なボタンを避け、すぐ下ろせるものにします。
- 紙パンツを本人任せにしない:交換が必要になりそうな時間帯には家族が声をかけ、一緒に交換します。
- 便器の横に大きなゴミ箱を置き、「使用済み紙パンツはこちら」と絵や写真を付けます。ただし、文字だけでは理解できなくなっている場合もあります。
- 紙パンツを流すことが繰り返される場合は、「流さないで」と注意するより、交換そのものを家族や介護者が見守る方法へ切り替えます。トイレのレバーや自動洗浄の扱いについても、住宅設備や介護職と相談して工夫できます。
- 急に失敗が増えた場合は、認知症だけと決めつけず、尿路感染、便秘、下痢、頻尿、前立腺疾患、糖尿病、薬剤、身体機能低下なども確認した方がよいです。
そして家族の会では、私は一番伝えてあげたいのは、**「何度言っても分からない=本人がわざとやっているのではない」**という点だと思います。
「紙パンツを流してはいけないことを覚えてもらう」ことを目標にすると、ご家族も本人もつらくなります。むしろ、本人を変えるより環境を変える。「失敗しても大事にならない仕組み」を作る方向へ持っていくと、ご家族の負担がかなり違ってきます。
認知症のトイレ問題 ― 家族ができる7つの工夫
「何度言っても失敗する」「紙パンツを便器に流してしまう」――これは、本人の不注意だけではなく、認知症によって一連の手順を行うことが難しくなっている可能性があります。
① 失敗する時間を知る
2~3日、「何時ごろ失敗したか」を記録します。時間帯が分かれば、その少し前にトイレへ誘導できます。
② 定時にトイレへ誘う
起床後・食後・外出前・就寝前など、「尿意を訴えてから」ではなく、生活の節目に声をかけます。
③ トイレを見つけやすくする
ドアに大きく「トイレ」と表示し、必要なら便器の写真やイラストも利用します。夜間は廊下や足元を明るくします。
④ 脱ぎやすい服にする
ベルト、ボタン、ファスナーなどが複雑な衣類を避け、ウエストがゴムのズボンなどを選びます。
⑤ 紙パンツの処理を分かりやすくする
便器のそばに大きなゴミ箱を置き、「使用済み紙パンツはこちら」と表示します。それでも流してしまう場合は、本人だけに任せず交換時に家族や介護者が見守ります。
⑥ 叱らない・問い詰めない
「どうしてまた流したの!」と注意しても、本人が出来事そのものを覚えていない場合があります。失敗したら淡々と片付け、次の失敗を防ぐ方法を考えます。
⑦ 急に失敗が増えたら身体の病気も考える
尿路感染、便秘・下痢、頻尿、前立腺疾患、糖尿病、薬の影響、歩行能力の低下などでもトイレの失敗は増えます。急な変化があれば主治医やケアマネジャーに相談します。
家族に一番伝えたいこと
本人を変えようとするより、環境を変える。
「失敗しないように覚えてもらう」のではなく、
「失敗しても大きな問題にならない仕組み」を作りましょう。
トイレの失敗は、ご本人にとっても自尊心に関わる問題です。「また失敗した」ではなく、できている部分を残しながら、難しくなった部分だけを家族が補うことが大切です。

