コラム
認知症と家族の会 S様の悩み
『今まで何でもやって来た主人が同じ事を何度も繰り返して言う介護の奥様の悩み』
「まず、認知症の症状であることを理解しましょう。」
同じことを何度も言うのは、本人がわざとではなく、「言ったこと自体を覚えていない」ためです。
奥様には次のようにお話しすると安心していただけます。
- 「そのたびに『さっき聞いたでしょう』と言うと、ご本人は初めて話しているつもりなので傷つき、不安になります。」
- 「初めて聞くつもりで、『そうなんですね』『教えてくれてありがとう』と穏やかに受け止めてあげましょう。」
- 「毎回長く付き合うのが大変な時は、『お茶でも飲みましょう』『一緒に散歩しましょう』など、自然に話題を変えることも大切です。」
- 「介護する人が疲れ切ってしまうこともあります。一人で抱え込まず、ご家族や地域包括支援センター、認知症カフェなどを利用してください。」
さらに、ご本人の立場についても一言
「ご本人は、一生懸命生きています。不安だからこそ、同じ話を繰り返して安心しようとしていることがあります。安心できる環境をつくることが症状を和らげる助けになります。」
歯科医師としてコメントするなら
「認知症が進むと口腔ケアや食事がおろそかになりやすくなります。ご家族が優しく声掛けをしながら、毎日の歯磨きや食事の時間を安心できる習慣にしていくことも、生活の質を保つために大切です。」
「認知症になると記憶は薄れても、『優しく接してもらった』『安心した』という感情は残ると言われています。正そうとするより、安心させることを大切にしてください。」
歯科医師として長年患者さんを診ている立場からぜひ次のような視点も加えてみてください。
- 「口から食べる楽しみをできるだけ長く守ることが、生活の質を支えます。」
- 「口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防だけでなく、会話や笑顔にもつながります。」
- 「ご家族が『今日はよく笑ってくれた』と思える時間が増えることも、大切な成果です。」
認知症について私が特に大切だと思う言葉を一つご紹介します。
「認知症の人は、出来なくなった人ではありません。出来ることが変わった人です。」
この視点を持つと、ご家族も「何ができなくなったか」ではなく、「今もできることは何か」を一緒に考えられるようになります。
そして介護するご家族には、ぜひ次の言葉も伝えてあげてください。
「介護は頑張り過ぎないことも大切です。介護する人が笑顔でいることが、ご本人にとって一番の安心につながります。」
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